会員発表1
1−1)
消化管撮影におけるFPDの有用性
公立学校共済組合東海中央病院 診療放射線科 中川英明
【目的】
当院ではFPD搭載型透視撮影装置としてH17年にTOSHIBA製ADR-2000Aを、H18年にはSHIMADZU製SONIALVISION
Safireを各1台ずつ導入した。午前中は人間ドックのUGIを行い、午後は病棟の検査を行っている。現在、FPD搭載型透視撮影装置が2台、I.I.型透視撮影装置が2台稼動している。FPDとI.I.を比較検討して、FPDの有用性を報告する。
【使用機器】
FPD搭載型透視撮影装置
・SHIMADZU製 SONIALVISION Safire
・TOSHIBA製 ADR-2000A
I.I.型透視撮影装置
・SHIMADZU製 IDR-700
・SHIMADZU製 DAR-3000シリーズ
【方法】
@FPDとI.I.の運用面及び環境管理での比較
AFPDとアナログ画像の写真比較
B寝台機能の比較
【結果】
@I.I.に比べてFPDは温度にシビアであり常時エアコンを稼働しておかなければならなく、I.I.の方が管理しやすい。運用面ではI.I.に比べFPDは電源を立ち上げてからキャリブレーションを行う必要があり、検査開始前までに時間を要する。
Aアナログフィルムでは露出が困難な画像もFPDでは描出能に優れているため、疾患の発見率に繋がると考えられる。
BFPDはI.I.に比べ寝台を低く下降することができるため、車椅子の患者さんでも容易に乗り降りができる。
【まとめ】
運用面、管理面ではI.I.のほうが簡便な面もあるが、疾患の描出能、患者の乗り降りなどを考慮すると総合的にFPDのほうが有用である。
1−2)
東芝FPD装置の注腸検査における有用性
大垣市民病院 医療技術部診療検査科
○
伊藤益弘 遠藤斗紀雄 鶴田初男
[はじめに]
近年、大腸検査は内視鏡検査が主流となりバリウム注腸検査(Ba-E)は減少傾向にある。またMDCTによるバーチャルBa-Eもあるが、病変の位置確認や術前検査としてはBa-Eの有用性は高いと思われる。
また、各施設で電子化が普及し、画像管理もフィルムレス化に移行しつつある。当院では平成19年10月よりflat panel
detector(FPD)装置として東芝製ZEXIRAを設置し、Ba-E検査を施行している。
今回我々は、導入後約5ヶ月間の使用経験を基に本装置のBa-E検査における有用性について報告する。
[使用機器]
FPD装置:東芝社製ZEXIRA、
フィルム/スクリーン(FS)系装置:島津社製XHD150B-30 、
自動現像装置:FUJIFILM社製 CEPROS SV (60秒現像)
フィルム読み取り式デジタイザ:アレイ社製2905M
[結果]
1)作業効率:従来のFS系に対しPACSへの画像送信時間は、FPD装置はダイレクトに送信が可能なことより、デジタイザ取込みを行っていたFS系に比し、大幅な作業時間の短縮を可能とした。
2)臨床画像:本装置は、画像濃度を補正するDCF機能を有しており、従来では腸管の重なりで描出が難しかった濃度域も描出可能となり、より詳細な読影が可能となった。3)透視画像が直接撮影視野サイズとなるのでフレミングがしやすい。また、装置の横幅移動が大きいので位置合わせ非常に容易である。
4)感染防止:検査寝台がフラット天板であり、検査後の清掃も非常に楽になり清潔を維持しやすい。
5)ランニングコストが比較的安価である。
1−3)
FPD搭載X線透視装置の現況
中濃厚生病院 放射線科 楳田 雄大
伊佐次範也・橋本智史・山田佳未・堀祐子・松岡理恵・渡辺映元
吉村明伸・小野江雅之・後藤博・森誠・今村裕司・末松弘志・藤野明俊1)
1)西美濃厚生病院 放射線科
【はじめに】
平成17年10月X線TV装置更新に伴いフィルムレス化を視野にいれて、直接変換方式X線平面検出器搭載X線TV装置が導入された。導入後、消化管造影検査は同装置で施行している。そこで今回のテーマ「消化管撮影におけるFPDの有用性」について、当院における使用状況等ふまえて報告する。
【使用装置】
X線TV装置:東芝メディカルシステムズ Dyna Direct Winscope6000
デジタル画像処理装置:DlstationHyper(2048×2048マトリックス画像収集)
【現況】
当院では、消化器疾患に対しては初めに内視鏡検査が多く施行されており、胃透視・注腸検査が行われるのは、術前および内視鏡不通過の症例が大半を占めている。装置更新後、FPDにより歪みがなく、I.I-DRシステムで失われていた四隅部分も観察可能となった。また、デジタル補償フィルタ(Digital Compensation Filter)により、フィルム/スクリーン系や従来の画像処理では補正しきれなかった腸管ガスの重なり、体腔厚の違いによって部分的に黒くつぶれてしまう領域も見やすく補正されるようになった。
【まとめ】
直接変換方式X線平面検出器搭載X線TV装置導入により、従来よりも最適な画像を提供できるようになった。
1−4)
消化管撮影におけるFPDの有用性
土岐市立総合病院 ○田中 洋 水野辰彦 水野 明 羽田野実紀 畑佐和昭
【はじめに】
当院では平成17年4月、透視撮影装置の機器更新に伴い、島津社製フラットパネルディテクタ(以下FPD)搭載型透視撮影装置Sonialvision Safireを導入した。従来の撮影装置と比較して安全性・被曝低減・画像処理スピード・画質の安定性に優れ、将来的なデジタルネットワークに対応した形で導入できた。消化器領域を中心にして各種検査に対応しているが今回消化管撮影の有用性について報告する。
【システム】
Sonialvision Safire 17インチ角FPD 管球:750kHU
連続透視と2種類のパルス透視が可能
18インチTFT液晶モニタ− Safire専用液晶ビューワ
出力:DRYPIX7000
【評価】
@アナログ画像からFPD画像に移行してのメリットは、撮影画質の安定性・速写スピードの速さ。デメリットは透視画像のモアレ、粒子ノイズ。焦点外X線による影響。
A撮影法はアナログと同様。斜入撮影における追加撮影が有効。
B描出能はチャート評価で幾何学的に劣るが、広いダイナミックレンジで画質向上。追加撮影を組み合わせることで曝状胃のようなブラインドエリアの描出能の向上。
C運用面での変更は連射撮影の活用、胸・腹部撮影の取り入れ。
【まとめ】
透視画質に関しては粒子ノイズの問題は残るものの、I.I.システムの短所を克服したシステムと理解できる。透視画像は現時点で発展途上であり、ソフト上でのNoise Reductionが必要である。しかし2種類のパルス透視を効率よく使い分けることで、画質改善が可能である。また検査中に歪みの少ない撮影画像を速読する運用を取り入れることで、従来の透視観察時間の縮小が可能となり、被曝低減につながる。消化管撮影では、チャンピオンデータを作るより、今までの見逃されてきたブラインドエリアの描出能を向上することで、精度が上がると考える。
1−5)
当院におけるFPD透視装置の使用経験
高山赤十字病院 放射線科 中井良則
【はじめに】当院に平成18年12月に導入された、平面検出器(FPD)を搭載した多目的デジタルX線TVシステムの使用経験を報告する
【使用装置】
東芝社製:ULTIMAX80
コニカミノルタ社製:DRYPRO MODEL793
【使用現状】
内科系:ERCP等の内視鏡を使用した検査・処置、PTCD等の穿刺手技・処置、
気管支鏡、精密胃透視etc
外科系:脊髄腔造影、嚥下透視検査、整形系整復術etc
【まとめ】
旧装置と比べ、Cアームになったことにより多方向からの透視・撮影が可能になり、検査時の体位変換が減少し、患者さん負担の軽減や検査の進行を容易にすることができた。その反面、天板幅が狭くなったことやクリアゾーンが広くなり、周りの物との干渉する危険度が増した。画質に関して、術者からは透視画像・撮影画像ともに、相対的にわずかではあるが質の向上があったという評価を得た。総合的に旧装置に比べ、新システムの能力は高い評価を得ることができた。今後、装置の劣化に伴い画質の変化や利用価値の高い運用方法があれば報告したい。