一般演題 テーマ『消化管撮影におけるFPDの有用性』

                   座長:大垣市民病院 遠藤 斗紀雄

 

 平成204月に診療報酬改定で電子画像管理加算が設けられた。いわばフィルムレス時代への突入となった。現時点においてデジタル化の普及は加速的に延びているが、X線テレビ装置についてはやや遅れをとっているのが現状である。今後のデジタル化の対応面もふまえてFlat panel detector(FPD)を搭載したX線テレビ装置について各支部より発表を行った。

 全体的な印象として、FPDは広いダイナミックレンジを有しており、歪のない画像が提供できることはI.I-DRに比し優れている。FPDは、透視=撮影画像となり従来のI.I-DRにおいて欠落する四隅を気にすることなく、目的とする画像の位置合わせが極めて容易である。また、撮影画像については5施設の内4施設が東芝社製のFPD装置が導入されており、中でもデジタル補償フィルタ(DCF)の有用性を挙げられた。DCFは高濃度部分に低周波成分をサブトラクションすることにより、通常では黒つぶれをおこす部位(穹窿部および前庭部前壁、注腸時の腸管との重なりなど)でDCF処理を施すことにより、コントラストを低下させることなく黒つぶれを解消できる。今までガス像などの重なりで描出しづらかった病変部も検出することが容易となった。大垣市民病院では、模擬的に注腸時の濃度差を生じやすい下行結腸領域の状態をアクリル板で構築し、分解能チャートおよび9段階アルミステップを用いてDCFonoff)の効果を物理的に評価していた。臨床画像と同様にDCFonの時とoffではかなりの違いがあり、ハレーション部の検出を向上させることに有効と思われた。分解能チャートでも、その差は明らかで、体厚、撮影条件にもよるがDCF offでは全く分解できないものが、onでは2.8line/mmまで視覚的に分解できていた。このDCFは、病変の検出能の向上に大きく貢献できるものと期待したい。

 土岐市立総合病院では、FPDの特性を生かし、斜入撮影を行っており、特に曝状胃など穹窿部が背側に垂れ下がって体上部の観察がしづらい症例に対し、ブラインドエリアを少しでも解消するため斜入撮影を追加し、体上部の広範な描出に心掛けていた。

 被ばく線量については、連続モードもしくは30f/secで通常運用されているが、15fもしくは7.5fを選択することが可能で、透視被ばく線量の軽減にも大きく貢献できるものと思われる。

 管理運用面では、FPDは湿度、温度変化に非常に左右されるためメーカーによっては24時間通電、常時室内エアコンを稼動する必要がある。しかし、一方のメーカーでは室温で稼動するFPD装置もある。

 安全面では、各施設天板の上下動はなく、管球とFPD側の可動で広いワイドカバレージを有する。このことで被検者が低い位置からの起倒となるので安心感がある。また、天板構造的にも手指の挟み込み防止策が施されている。

 システムの起動所要時間は、メーカーによりFPDのキャリブレーションを含め16分必要とし、システムエラーに再起動させることがあった場合は問題となる。一方のメーカーでは5分で、この点も機器選定に重要な因子となるだろう。

 今回発表した各施設では、全て直接変換方式の装置であったが、間接変換方式もあり、その違いなどをわかればよかったが、この点が少し心残りである。

 今回の会員発表において、消化管撮影におけるFPDの有用性は高く、画質の向上および安定性、フレーミングおよびポジショニングの簡便性、安全面への配慮について従来のI.I-DRに比し優れている。

今後、フィルムレス運用に移行する施設が急増すると思われるが、今回の発表が一つの参考になれば幸いである。