比較的稀な脊髄疾患の2症例
東濃厚生病院* 西美濃厚生病院**
○深澤基*伊藤栄里子*安藤秀人*安部威彦*不破武司*
末松弘志*丹羽政美*伊藤道廣*安藤俊郎*
平松達**仲田文昭**
【はじめに】脊髄疾患の画像診断には多くの検査法が用いられてきたが、MRIは骨によるアーチファクトがなく、上下に長い脊椎管・脊髄をコントラスト分解能よく描出することができ、最も重要な検査法になっている。今回MRIにて比較的稀な脊髄疾患を経験したので報告する。
【症例1 57歳女性】1月より手の痺れを認めていたが放置していた。徐々に症状が悪化してきたため4月に来院。MRIにてC4/5、C6/7にヘルニアを認めたため、牽引および消炎鎮痛剤、抹消神経障害治療剤、末梢循環改善剤の投薬治療を開始した。5月より下肢脱力も認め(JDA scoreは12点)7月に撮像したMR像でも特に改善が認めらなかったことより手術を勧められたが、本人が手術を思い切れず牽引、投薬治療のほかに鍼治療を開始した。また本人自身が、赤唐辛子と焼酎による民間療法も同時に開始した。2ヵ月後の9月に撮像したMR像ではヘルニア塊の縮小が認められ、症状の改善も見られた。翌年の2月に撮像したMR像ではヘルニア塊はほとんど消失し手の痺れ等の症状は認められなかった。
【症例2 77歳男性】両下肢脱力にて松葉杖にて来院、XPおよびMRIにて第7胸椎の圧迫骨折および起立障害のため早期の手術を進められ胸椎除圧手術が施行された。病理検査の結果悪性リンパ腫と診断された。
【終わりに】一年という短期間に自然修復した頚椎ヘルニアと胸椎原発の悪性リンパ腫を報告した。二症例とも経過は順調で悪性リンパ腫症例でも再発は認めていない。