血管造影装置における面積線量計の検証
岐阜大学医学部附属病院 放射線部
◯石原匡彦 岡田富貴夫 奥田清仁 松山勝哉 岩田竹史
園原慶彦 鈴村佳也 渡邊恵介 市村勝博 衣斐賢司
<はじめに>近年、心臓カテーテル検査をはじめとする血管造影検査数は、IVRの進歩などにより著しく増加傾向にあり、それに伴い被ばく線量も無視できないレベルまで達していると思われる。そこで当院では昨年6月に新しく完全電子カルテ化したのに伴い、RIS(放射線情報システム)の中に新たに患者被ばく線量の欄を設け、血管造影部門では1検査ごとに面積線量計の値を入力している。
<目的>当院にて稼動中の血管造影検査装置3台で、面積線量計の値から患者皮膚線量を算出するための補正係数を求める。
<使用機器>Radcal Corporation社製Model 9015 血管造影装置3台
<方法>IVR基準点に電離箱線量計を設置し透視及び撮影を行う。面積線量計と電離箱線量計の値から相関関係を補正係数として求める。
<結果>装置間により補正係数は異なった。正面方向における3台全ての装置において、透視のときに比べ撮影時の補正係数が低い値を示した。
<考察>近年血管造影装置においては、面積線量計を装備するものも増加しており、個々の面積線量計の補正係数を求める事により患者皮膚表面線量は概ね推測する事が可能である。臨床においてはカテーテル操作に伴う透視や多方向からの撮影が行われ照射部位が一定ではないが、ある程度角度が限られる頭部、腹部血管IVRや心臓カテーテルにおけるPCI、Ablationなどにおいては装置個々の面積線量計の補正係数を把握する事により現実的な被ばく線量の算出が可能になると考える。