第9回岐阜県放射線技師学術大会 会員発表2 座長集約
東濃厚生病院 丹羽政美
『最新のMRI装置における臨床』というテーマにて5題の演題を得た。装置メーカーも4社に分かれ、アップグレードの報告も含まれておりこれから装置の更新を考えている会員各位においても有意義な演題であった。
まず岐阜大学付属病院の前田先生の発表は「頭部急性期MRI検査における当院の現状と最新技術の応用」という演題で、高次救命救急センターにおける現状報告があり、微小出血を疑う場合はT2*WIも追加撮像し、梗塞を疑う場合はADC MAPを作成し診断の確信度を高めているということであった。また、各々の撮像法における臨床上の特徴や症例報告さらに最新技術のPropellerという体動補正の撮像法の説明もあり初心者にも有意義な報告であった。
2席目の東海中央病院の大澤先生の発表は「SIEMENS社 MAGNETON Avantoの使用経験」という演題で、装置の特徴、特にTIMの使用経験と有用性の報告であった。ほとんどの撮像でコイルの交換は必要なく、スループットの向上においてコイルの軽量化を含め大変有用性の高い使用であると考えられた。
また最新技術としてはcomposing PACE法という横隔膜に同期した画像を撮像することができ、たとえ息止めができない患者さんにおいても位相ずれのない画像が撮像できるということで、これもまた大変有用な撮像法であると考えられた。
3席目の発表は岐阜市民病院の坪内先生で「当院における頭部MRI検査の現状」という演題で、装置の更新後の稼動状況と撮像法においての発表であり、当直者全員が頭部MRI検査を行えるということであった。またMRAにおいても末梢血管まで描出するためにTEの最適化を計っているということであり、症例を含めて報告があった。日頃経験しない救急時の症例もあり緊急MRIの有用性を実感した報告であった。
4席目は土岐市立総合病院の水野先生の「当院の中枢神経系のMRI」という演題で、アップグレードによる追加シーケンスを中心に報告があった。画像再構成時間も大幅にアップし、マトリックスの可変も可能になり、ソフト面でもSENSEやDRIVEなどの導入が計られ、短時間に高分解能の画像が描出できるという報告であった。緊急時の症例報告もあり、これもまた緊急MRIの有用性とアップグレードの期間も一週間程度で可能ということで更新だけが能じゃないと実感させられた報告であった。
最後の発表は岩佐病院の中島先生の「東芝社製MRIの使用経験」という演題で、装置の特徴と撮像法についての報告であった。Neuro-Vascularコイルによる非造影の動脈弓から頭部までの広範囲で高画質の画像の報告や急性期におけるdiffusion画像の報告もあり、これもまた緊急MRIの有用性を実感する報告であった。またtractographyやpianissimo機能の報告もあり興味ある報告であった。
以上5題の演題があったわけであるが、ハード、ソフトの向上は目覚しいものがあり緊急時におけるMRI検査の有用性を実感した報告が多く、これから導入する施設においてはそれらのことを前提に、患者さんの急変等に対応できるように生体監視モニター等の導入も積極的に考えていく必要性が考えられた。