多発性馬尾腫瘍の1症例
岐阜県立多治見病院 中央放射線部
宇地越 貴寿
(症例)
37歳男性
H3.6.20初診。7月下旬より腰痛強く、仕事にも行けない為精査目的で入院となる。
MG+CTによりTh11の腫瘍発見。摘出術施行。
H10.5月頃より腰痛出現。右殿部より両大腿部にかけて痛み強くMRIにてTh10〜12レベル腫瘍発見。摘出術施行。
H13.2月MRIにてL1〜2レベルでの腫瘍再発確認。5月摘出術施行。
H14.10月再発わかり摘出術施行。
H15.9月再発。摘出術施行。(5回目)
(神経鞘腫)−硬膜内髄外腫瘍−
Neurinoma(intradural
extramedullary tumor)
神経根のSchwann細胞から発生するが、後根由来のものが多い。
25歳〜50歳に多く、発生レベルでは胸髄が最も多い。脊髄領域の神経鞘腫は頭蓋内の神経鞘腫よりも嚢胞を伴なう頻度が高い。
硬膜内髄外腫瘍は髄内腫瘍よりも単純MRIにても明瞭に描出されることが多いが、造影することにより、さらに明瞭に描出されて存在診断が容易となる。
神経鞘腫でも多発例がしばしばあり、経過観察が必要となる。
この領域では髄膜腫と神経鞘腫が大半を占めるが、わが国では神経鞘腫が最も多い。