昭和60年当時岐阜大学医学部放射線科の柳川繁雄先生が、岐阜地区4施設の放射線治療患者を診察していました。そこで、各施設の照射線量の計算方法が異なっていることを疑問に思い、「施設間の標準化を行っては」とのことから、昭和62年7月に岐阜県下の放射線治療に携わる医師、診療放射線技師が年3〜4回集まり情報や技術交流を図る目的で発足誕生しました。
平成5年1月から社団法人岐阜県放射線技師会主催の研究会として会則を整備し再出発をしました。
この研究会は、医師と診療放射線技師が協力して運営してきたため、医師の立場、技師の立場を超えて放射線治療について議論することができ、研究会には岐阜県はもとより、近隣の県から職種を問わず多数の職種が参加できる、開かれた会としています。
岐阜県の各地区より10名の世話人と2名の顧問が選出され、研究会担当理事とともに、研究会開催に当たっては、案内状の作成、送付、司会進行、報告書作成までを協賛メーカーの手を借りず、全て手作りで行っています。
ともすれば、技術偏重になりがちな研究会にあって、放射線治療という特殊な分野ということで、患者様の心のケアも含んだトータルな治療を目指して取り組んでいます。
第42回岐阜県放射線治療技術研究会
【問題1】誤っているものはどれか。2つ選べ。(基礎物理6) [解答: a、c]
a 60Coγ線・Beターゲットにより光中性子が発生する。
b Raからのγ線による光核反応を利用した中性子線源がある。
c 一般的傾向として、(γ,n)反応のしきいエネルギーは軽い核の方が中位以上の核よりも小さい。
d 光核反応で発生した中性子のエネルギーは一般に連続スペクトルである。
e 光核反応には、(γ,n)だけでなく(γ,p)もある。
【問題2】 誤っているものはどれか。2つ選べ。(基礎物理10) [解答:c、e]
a コンプトン散乱は非コヒーレント散乱である。
b コンプトン効果における入射光子波長と散乱光子波長の差は入射光子エネルギーに関係なく散乱角で決まる。
c 1MeV領域の光子に対する線減弱係数の値は、どの物質でもほぼ等しい。
d 軟組織中では、エネルギー吸収係数とエネルギー転移係数の値はほぼ等しい。
e 光電効果における光電子の運動エネルギーは入射光子のエネルギーに等しい。
【問題3】 誤っているものはどれか。1つ選べ。(基礎物理15) [解答:a]
a 直線加速器では多数の導波管を用い、粒子がある管を通過している時マイクロ波電場が加速位相になっているように制御される。
b マイクロトロンは静磁場を用い、粒子の運動が常に1点(加速部)を通る回転軌道となるようにしたものである。
c 一定周波数の電場を加速に用いるサイクロトロンには相対論的制約による加速し得る上限がある。
d タンデム型加速器では、荷電変換を用いることでターミナル電圧の2倍の加速電圧が得られる。
e シンクロトロンでは加速する粒子の速度に応じて偏向電磁石の磁場強度を制御する。
【問題4】 誤っているものはどれか。2つ選べ。(基礎物理22) [解答:a、e]
a 元素番号は同じでも質量数の異なる核種を異重体と呼ぶ。
b 原子番号Zと中性子の個数Nが逆になっている原子核の一対を鏡像核と呼ぶ。
c α崩壊により、(Z、A)の親核は(Z−2、A−4)の娘核に変わる。
d 原子核のβ崩壊では、放出されるβ腺のエネルギーは連続スペクトルを示す。
e 特性X線放射の競合過程であるオージェ電子放出は、原子番号の大きい原子ほどおこりやすくなる。
【問題5】 半価層の測定について誤っているものはどれか。2つ選べ。ただし、照射野の影響は無視できるものとする。(放射線測定10) [解答:c、d]
a 線量は照射線量ではかる。
b 半価層は管電流の影響を受けない。
c 半価層が決まれば線質は決まる。
d 吸収板の純度は90%あれば十分である。
e 吸収板と線量計は30cm以上離す。
【問題6】 グリッドについて誤っているものはどれか。1つ選べ。(放射線診断物理学8) [解答:b]
a X線照射中に移動するグリッドはブッキーブレンデである。
b 得られる写真濃度が同等ならグリッドを使う方が被曝線量は減る。
c 高圧撮影ではグリッド比の高いものを使うべきである。
d CR装置でグリッドを使う場合、縞目の向きに注意が必要である。
eブッキーブレンデは高密度グリッドでなくてもよい。
【問題7】 次の5つの組み合わせで誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学2) [解答:a、d]
a X線写真の粒状性 − MTF
b X線フィルム像のコントラスト − フィルム特性曲線
c ]線CT画像再構成法 − フィルタ補正逆投影法
d 保存義務のあるデジタル医用画像の長期保存媒体 − ハードディスク
e デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA) − マスク像
【問題8】 X線CTについて誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学14) [解答:a、c]
a CT値は水の質量減弱係数を基準として定義されている。
b 上部消化管造影CTには硫酸バリウムも用いられる。
c ダイナミックCTとは寝台を移動させながら撮影する手法を指す。
d X線管の回転しないCTがある。
e 後頭蓋窩の撮像ではアーチファクトが生じやすい。
【問題9】 超音波に関連する記述で誤っているものはどれか。2つ選べ。(基礎物理19) [解答:a、b]
a 超音波トランスデューサは送信用と受信用が交互に組み込まれて一体化されている。
b 骨や肺を除く臓器の平均的な音速は約1530cm/sである。
c 生体組織の減衰係数の周波数依存性は1dB/cm/MHz程度である。
d 電子走査方式は連続する複数個の微少振動子をスイッチ群で順次選択する。
e ドプラ法ではエコー信号の周波数変調の情報を運動(移動)情報とする。
【問題10】MRIについて誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学24) [解答:c、e]
a MRI造影剤には陽性造影剤と陰性造影剤がある。
b Gd3+の造影効果はT1緩和時間およびT2緩和時間の短縮作用で生じる。
c 撮像野の周波数エンコーディング方向の外側から信号を受信すると、打ち切りアーチファクトが生じる。
d MRAにはtime-of-flight法とphase contrast法がある。
e MR検査中(腕を除く)の被検者は、両腕を体幹上で組んでいることが望ましい。
【問題11】 正しいものはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学43)[解答:a、b]
a 乳房撮影装置の評価には特別なファントムが用いられている。
b 幾何学的不鮮鋭の原因はX線管焦点が有限の大きさを持つことである。
c X線透視では、被検者の状態変化を見逃さないためにできるだけライブ画像を表示すべきである。
d MR静磁場内に不用意に入らないよう立入制限する範囲は、一般に10ガウスラインとされる。
e JISはIECやISOと無関係に定められている。
【問題12】 エックス線を利用した撮影法について誤っているのはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学50) [解答:c、e]
a DQEは画像評価の指標である。
b ビーム・ハードニング効果はエックス線CTで見られる現象である。
c 直接方式のフラットパネル・ディテクタにはシンチレータが使われる。
d クロスオーバー効果は鮮鋭度を低下させる。
e マンモグラフィでは散乱線除去用グリッドは不要である。
【問題13】 外部照射の治療方法についての次の5項に関し、誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線治療物理学6) [解答:c、e]
a 重荷電粒子線による治療では、SOBP(拡大ブラッグピーク)が用いられる。
b 乳房の接線方向2門照射では、ウエッジフィルタが用いられることがある。
c 我が国の原体照射では、回転照射は用いられない。
d 子宮頸癌の原発部位への対向2門照射では、中央遮蔽が用いられることがある。
e 白血病の全身照射では、患者位置での線量率は3Gy/分以上でなければならない。
【問題14】 放射光について正しいものはどれか。2つ選べ。(放射線診断物理学27) [解答:b、d]
a 放射光にはサイクロトロン放射が用いられる。
b 放射光の挿入光源とは、交番磁場を発生する磁石列である。
c 放射光はコヒーレント光である。
d 放射光の指向性が非常に高いのは、発生源である電子の運動エネルギーが非常に高いためである。
e 放射光の照射野は拡大できない。
【問題15】 誤っているものはどれか。1つ選べ。(情報処理23)[解答:d]
a X線CTの投影データは線減源弱係数の積分値に関係する。
b SPECTの投影データは線減弱係数と放射性同位元素の濃度に関係する。
c 実用的な再構成フィルタにはShepp-Loganフィルタがある。
d SPECTでは、吸収補正をしなくても、フィルタ補正逆投影法により、正確に放射性同位元素の濃度が再構成される。
e フーリエ変換法による画像再構成では、通常、周波数領域において補完が必要である。
【問題16】 自由空気電離箱について誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線測定13) [解答:d、e]
a 1次X線が電極に当たらないようにする。
b 最大エネルギーが2次電子が衝突しないように電極間隔を十分に離す。
c イオン再結合損失が起こらぬような電圧を与える。
d 集電極の縦、横の長さをともに正確に求められること。
e 保護電極は漏れ電流を少なくするために設けられる。
【問題17】JARP形線量計について正しいものはどれか。2つ選べ。(放射線治療物理学15)[解答:d、e]
a 電離箱の壁材質はグラファイトである。
b 電離箱の壁厚は5mmである。
c 用ビルドアップキャップの厚さは10mmである。
d 電離箱部の内径は6mmである。
e 電離箱の円筒形部の長さは20mmである。
【問題18】 標準測定法01で使用されている英字略語(シンボル)と日本語用語の対称関係で誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線測定20)[解答:d、e]
a SMD − 線源最大深間距離
b SSD − 線源表面間距離
c TAR − 組織空中線量比
d TMR − タイマー/モニター係数
e TPR − 組織ピーク線量比
【問題19】 外部放射線治療装置の保守管理プログラムにおける管理項目−許容誤差−点検頻度の関係で誤っているものはどれか。2つ選べ。(放射線測定22) [解答:b、d]
管理項目 −許容誤差 − 点検頻度
a リファレンス線量計の校正 − ±0.5% − 購入後3年間は毎年
b リファレンス線量計のチェック −±0.5% − 1年
c 線量モニタシステム再現性 −±0.5% − 6月〜1年
d 線量モニタシステム運動照射中の安定性 −±5% − 1月
e X線の深部線量又は校正深との線量比 −±2%− 6月〜1年
【問題20】 PET装置について誤っているものはどれか。1つ選べ。(核医学物理学9)
a 検出器にはBGOが用いられる。[解答:d]
b SPECTより吸収補正が容易。
c SPECTより定量性が優れている。
d SPECTより感度は低い。
e 同時計数を行うのでコリメータは不要。 |
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